夏のウルトラ9時間耐久まつり 続編
 つづく…  続いてスッゲー展開になった例がない報告書。  「またか!」  「大した事ないんでしょう?」  と、お気づきのかたは90%ぐらいだと思います。  大丈夫!  アニメ『キャプテン翼』でフィールドを永遠に走り続けるシーンのような展開には持ち込みません。  走っても走っても地平線だけが動くような報告書にはしません。


 「あっ!」と驚いた瞬間…  テクニックの無い606は大慌てで右に回避しました。  先ほどまでは短い時間にいろいろ考えて、どう対処しようか凄く頭を使ったかのように書きましたが…  実際は黒いBMWが左サイドミラーに映った瞬間驚いて、直ぐに黒いBMWの激しいブレーキ音にさらに驚き…おもいっきり右にステアリングを切って逃げました。  

 急な下り坂だったので、もちろんアウト側のグラベル目がけて膨らんで行きます。  「怖ぇ〜!」と叫びながらアクセル踏むかブレーキ踏むか一瞬悩んだ末に両方放した愚かな606だった。  直ぐにアクセル踏んでフラフラしながら立体交差を通過しました。
 そのまま1周流してチェッカーフラッグを確認。  PITに戻りました。

 「謝りに行かなきゃあ!」 と思いつつも自分達の段取りや作戦を決めたりしていたら決勝スタートの時間になってしまった。  燃料を満タンにしたり、ホイールの締め付けの確認。  水筒の準備などなど…ドタバタしまくり!
 ライバル車のゼッケン2番twingoは予選を走らず終い。  本当にドタバタ劇でここまで終わった。


 決勝はローリングスタートなので、PITロードから出ると思いきや…  一旦グリッドに並ぶ嬉しい計らい。
1コーナーに一番近いPITだったので、PITロードを逆走してコースイン。  さらに1コーナーから一番遠いグリッドだったので、コースも逆走してグリッドに並びました。  なかなかできない事やね!


 個人的にはグリッドスタートがしたかったなぁ。  ちょっと残念がりながらフォーメションランが始まりました。  そのままローリングスタートになるので前のマシンに追走するだけです。  先頭集団はジグザグ走行でタイヤを温めています。  「スプリントレースかよ!」と余裕でツッコミ入れながら、僕はタイヤの温存&燃費向上運転に努めながらの走行です。  勝ちにいくマシンと勝ちにいかないマシンの、なんとも対照的な絵をフロントガラス越しに見ました。  っつーか…  後方のマシンもジグザグしていた。  だから僕もついついジグザグしちゃった。(10mぐらいね)


 立体交差に入る時に最終コーナーから立ち上がって行くマシンを見る事ができます。  なんと全開走行です!  排気音もスッゲー!!  無意味だと思いながらも前のマシンにピタリと張り付いて最終コーナーからメインストレートに入りました。  緑色の旗を一生懸命に振ってるオフィシャルがだんだん大きく見えてきた。  でも、ピタリと張り付いていたはずのマシンは一気に小さくなっていく。
 さらに1コーナーまでに後に居た4〜5台のマシンに全部抜かれた。  始まって直ぐに最下位だわ。  もちろん予選を走っていなかったtwingoにも呆気なく抜かれた。


 美浜の耐久レースでも1000ccのミニに抜かれる1300ccのチキチキミニ。  本当は1000ccなのでは?  twingoだって1150ccだよ。  

 9時間の耐久レースが始まって考える事は1つ。  『とにかく7人全員に襷(たすき)を繋ぎたい』という気持ち。  それにはタイヤとエンジンの温存が最優先!  ラップタイムなんて関係ない。  抜いた抜かれたなんて関係ない。  とにかく次の仲間と無事に交代したいだけ。

 あんなに広い(長い)サーキットなのに、チキチキミニは直ぐに周回遅れになりました。  予選の事もあったので、ココから先は前20%、後80%の割合で見ながら走らなければならない。  サイドミラーは美浜の耐久ではオブジェ的存在だったけど、センターミラーの補助的役割に昇進している。  ほとんどセンターミラーが頼りだったのは言うまでもない。


 抜く事はなく…  ただひたすら抜かれまくるチキチキミニ。  速いマシンとはなんとなくコーナリングでは互角に思えたので、バトルしたくて堪らなかった。  でもタイヤにもエンジンにも負担をかけてしまうので、常に『守りの走り』に徹しました。  美浜の耐久ではタイヤもエンジンもダメになるまで全開! って感じだったので、かなりストレスが溜まった。  『とにかく完走!』そう自分に言い聞かせて周回を重ねました。


 PITウォールでは仲間が常に手を振って応援してくれてました。  これは凄く嬉しいし楽しい♪  これぞ耐久レースの醍醐味♪  バリバリの耐久レースではなくて、主催者側が声を大にして『レースではなく祭り』とアピールしていた通りで面白い。

 そのうちにラスト2周のサインボードを確認しました。  あっという間の30分!  僕も『了解』の合図でVサインを向けて答えた。
 そしてPIT INのサインボードを確認して最終コーナー手前から左にウィンカーを出しながらIN側走行に入ろうとした。  ところが赤いマシン2台が激走バトル中でINの差し合いで最終コーナーに入って来た。  「うぇぇ〜ん! PITロードに入れないよ〜!」と、最終コーナーは2台のマシンに挟まれながらクリア。  IN側のマシンはフル加速でチキチキミニはブレーキ踏んで速度を落としてPITロードに無事進入。
 セントラルサーキットのPITロードは直角に曲がらないと入れないから怖いし危険なんだよね。


 PITロードは30km/h規制。  PITロード出口付近からオフィシャルがスピードガンを持って計測しています。  小さなスピードガンです。  本当に計っているのか疑いたくなるけど…  ちゃんと計っていました。  その証拠にペナルティとしてPITストップを喰らってるマシンは続出してた。


 皆が両手を挙げて呼んでいるPIT前でミニを停めてエンジン切って降ります。  第2ドライバーのshige1710さんと交代。  shige1710さんはセントラルサーキットを走るのが初めて。  ミニを運転するのも初めてで、緊張のオーラを発してます。  
 ドライバーチェンジは『速攻』というチキチキミニの作戦で何処のチームよりも速かった!!(ような気がする)

 「自分のペースでいいから!」とshige1710さんに伝えてコースイン。  
大汗かいたのでレーシングスーツを脱いで、着替えていたら雨天中止さんが「さっき予選が終わってからBMWの人が怒って来ましたよ。」と…。  (>。<)やっぱりかぁ。  僕の代わりに雨天中止さんが怒られたらしく…  でもまぁ雨天中止さんのお友達でもあったので、事なきを得ました。(ような気がした)


 shige1710さんから雨天中止さんにドライバー交代。
走り終わったshige1710さんは大興奮気味でした。  この頃までは曇り空だったので走っていれば意外に涼しく感じたほど。  PITは蒸し暑かったです。
ここからは頑張って交代2週前指示とPIT IN指示を発令。  909さんが箱に登ってサインボードを掲げてくれました。

 この頃PIT裏では関西のI川さんとtwinsさんが「腹減ったーっ!」と… ホットケーキを焼く準備に入りました。  たぶん朝飯を食べてなかったのでしょう。  僕はモーニング・中華そばを食べたので結構イイ感じだった。  だったけど…  スッゲー上手に焼く二人のホットケーキは美味そう!  デブ一直線の606は底無し胃袋状態でいただきました♪  メイプルシロップ&あんこ。  とても懐かしい味がした。  ホットケーキなんて何年ぶりだろう?  外で食べるホットケーキ。  サーキットで食べるのもなかなかイイもんでした。
 (T。T)落ち着いて味わって食べたかったです。


 雨天中止さんが走り終えて帰って来たら約100分走った事になる。  燃料系がプチ故障中だったミニ。  美浜では90分間で途中給油は認められていないから、燃料計は必要なかった。  そのままの状態で来てしまったので、燃料消費量が分からない。  でもそろそろ給油しなければならかったので、ドライバー交代と同時に給油をする事に決定。  PIT INのサインボードを掲示してから全員でドライバー交代と給油の体制を整えて待機。


 給油の際は消火器を持って… というルールだったけど、消火器を忘れた!  トラふぐさんはPITの壁に備え付けられているスッゲー大きな消火器を持ち出そうとしていたので皆で制止。  仕方なかったのでミニに積んである手のひらサイズの消火器を外して使う段取りも取りました。


 雨天中止さんがPITロードをゆっくり進んで来ます。  誰もが初めてだろう燃料補給。  妙な緊張感が漂います。  火事にでもなったら新聞沙汰!  今世紀最大の報告書のネタにはなるけどチキチキ通信が閉鎖に追い込まれる可能性特大!  
 ミニが僕らの前に止まった瞬間、時間が凄い勢いで進みました。  給油には時間がかかるのでドライバーチェンジはそれほど慌てなくても良かったのですが…  雨天中止さんは給油する事を知らなかったのでミニからの脱出は早かった。  それに触発されたトラふぐさんも負けないくらいの速さで乗り込んだ。

 なかなか満タンにならない。  時間だけが無情に過ぎる。  

 なぜこれほどまでにPIT作業に拘るか…  それはライバルtwingoのチームが凄くゆっくりドライバーチェンジをしていたから。  それは本当にゆっくりのPIT作業だった!  マシンがPITに止まってから次のドライバーはヘルメットを被ったり…  シートベルトものんびりと締めている。  コースでの挽回をPITに賭けた僕らのチームは、PIT作業に全力投球です。


 レーススタートから2時間経ち、これまで90分しか走り続けた事がなかったので、いつの間にか未知のゾーンに突入してました。
ミニはトラふぐさんから808さんにバトンタッチ。  自分のミニでセントラルサーキットを走った事のある808さん。  安心は安心なのですが… もしかしたらタイヤの消耗やエンジン負担を考えずに攻めてしまうのではないだろうか?と不安が1つ。  昨夜は飲みに行って生ビール7杯飲んでるらしく、体力がヤバイのではないだろうか?と不安が2つ。

 でもやっぱり走り慣れている人は違います。  頑張って走ってます!
安心してストップウォッチをテーブルに置いて少し休憩しました。  PITウォールでは雨天中止さんやshige1710さんが応援しています。
関西のI川さんはレーシングスーツに着替えて準備を始めている。  気合いはラスト2周のサインボードを出してからでもOK。  


 そんな感じでやっとレースの流れもPITの雰囲気も落ち着いた平和なひと時。  twinsさんも何処かでレーシングスーツに着替えて落ち着いていた。
時間がゆっくり流れている。  

 「(ミニが)入って来たぁーっ!」
と…突然PITウォールで応援していた仲間から叫び声が聞こえた。  まだサインボードは出していないし、交代時間まで10分くらい残っている。  「接触?」  「エンジン壊れた?」  「黒旗?」
接触だったら動けなくなるまで走り続けて!!
エンジン壊れたら安全な場所に止まって!!
黒旗だったらPITストップの場所まで急げ!!  あ〜〜〜〜いったいどうしたんだろう??


 (つづく! にしたい気持ちを抑えて書き続けます)

 せめて皆に一回は乗ってもらいたかった(T。T)
スルスルとPIT前に停止した808さんが口にした事は、「燃料計の針が振り下がってますわ!」だった。  「ゴメン… 燃料計壊れてるんだわぁ。」と僕がポツリ。
ドタバタしていて伝えたり、伝えてなかったりで反省。
 壊れたワケじゃないし、せっかくPITに戻ったのだからと大慌てで関西のI川さんと交代。  関西のI川さんは急いでヘルメット被って急いでコースインしました。   平和だったPITが一気に活気づいた。 


 ココから先は燃料がどれだけ入ってるのか手探りの状態です。  ガス欠喰らったら凄いロス。  毎回燃料補給したいけど、それも時間のロス。  24リットルぐらいしか入らない燃料タンクなので直ぐに空っぽになってしまう。  それでいて燃料計が壊れている状態では大変!  90分耐久レースでは余裕で持ちこたえた燃料だったので全然気にしてなかった。  本当に悩まされた。


 かなり太陽もキツくなってきた。  それでもPIT前を通過する関西のI川さんは笑顔(?)で手を振りながら走っていました。
次はラストドライバーのtwinsさんです。  関西のI川さんの真っ青のレーシングスーツに対して真っ赤なレーシングスーツ。  フェイスマスクも勇ましい。
ここに来て606は悩みました。
今までのドライバー交代は皆男性だったけど…  女性をバケットシートに座らせて4点式ハーネスをする作業は正直悩んだ。  5点式じゃなかったのでまだマシだったけど、やはり気を使う。

 しかし時は待ってくれない。
関西のI川さんにPIT INのサインボードを出して、ミニが戻って来た。  仕方ない。  やるしかない。  ニコニコ笑顔でやっていたら疑われると思ったから歯を食いしばって真面目な顔でドライバーチェンジを手伝いました。


 ホワイトラインに接近するtwinsさんにハラハラドキドキしながら僕は再び新たな悩みに遭遇。
とりあえず無事に7人走れた事を喜んでいる暇はない。  時間的には正午。  まだ半分も終わっていない。  残り5時間弱ある。  twinsさんが戻って来ると次のドライバーは振り出しに戻って僕。  2回目の走行は一人何分なのか計算しなければならなかった。

 悲しい事に電卓を忘れたので、掛け算割り算は小学校で習った方法で紙に書いて計算した。
ざっと計算してラスト2周のサインボードを出す時間。  PIT INのサインボードを出す時間。  燃料補給の時間も引かなきゃ!  タイヤの交換も必要だからコレも計算に入れなきゃダメだけど…いったい何分ぐらい必要なんだろう??
と…  知恵熱バリバリの状態で数字とバトルしてる横で909さんが信じられない事を僕に言ったのであった。

やっぱり… つづく♪
by606