小雨降る午後12時半、定刻に到着した我が小隊は… どの隊員も空腹であった。
和歌山駐屯地では全車、屋根付駐車場に格納してもらえるという、三発屋さんの粋な計らいで雨ざらしの心配なく食事ができる運びとなり…隊員全員、安堵の気持ちで海星楼さんに入店しました。

 かいせいさんには電話で「1230、十一名到着ス」と報告しておいたので宴会座敷を用意していただてました。 セブンのような足を投げ出して運転する車には『足を曲げたい』という気持ちになります。 つまりは正座したい。 正座が楽なのyo~ (それは僕だけかもしれませんが…) とにかくレーシングシューズを脱いで全ての苦痛から逃げ出したかった。  

 かいせいさん御夫婦にヘラヘラ照れながら挨拶して入店。 かいせいさんの奥さんの笑顔にはいつも負けてしまう。 何度もお会いしてるけど…いつも素敵な笑顔を絶やさない方だし、かいせいさんとも(もちろん)凄く仲が良くて羨ましく思います。 それはチェリ井さんに僕とかいせいさん御夫婦3人で撮ってもらった画像を見れば一目瞭然! かいせいさんのささやかな心遣いは、世の旦那様諸君は見習うべき優しさだぞっ♪

 料理に関して少しだけメールでやりとりしてました。 男性2500円・女性2000円ぐらいでなどと… だけど結局何の前フレも無く来店したお客さん同様、アレくれコレくれと注文してしまった。 (ゴメンね)  とりあえずは烏龍茶で11名、かいせいさん御夫婦と乾杯! すかさず登場したのが直径1bの大皿に盛り付けられた『カニチリ』でした。 これまでカニを焼いたり茹でたり刺身でしか食べた事なかったけど…チリソースで煮込んだカニは生まれて初めて♪ 正直ぶっ倒れました。 帰りの岸和田SAまでのトイレを心配して烏龍茶は1杯に留めようと思っていた体が制御不能。 僕的にはかなり辛口でしたが、これが正解。 冷め切ってた体から汗が出るくらい。 さすがは元セブン乗り! 仲間の体の事まで気を使ってくれてるなぁと思いました。 一気にハイテンション!

 そして餃子にエビマヨ… そうそう『エビマヨ』! 天下一品! いろんな店でエビマヨ評論家と噂されてる606だけど…ごめん、マジで海星楼さんがNo1です。 それからは誰が注文したのか知らないけど、どんどん料理が運ばれてきて毎度毎度の竜宮城よろしく状態。 そんな忘年会みたいな騒ぎになってしまい、三発屋さん御夫婦もお手伝いに専念していただいちゃった。 重ね重ねお詫び申し上げます。  

 食欲中枢が一旦壊れたら底なし胃袋と化す606。 この日も例外じゃなかった。 セブンで来た事なんて100%忘れちゃってました♪ 食事と同時に進められてたWBC(日本vs韓国)も全く気にならず… ガンガン食べました。 ガンガン食べながら次は烏龍茶じゃなくて1泊で生ビールを飲みたいという事まで考えていました。 
 もう食べれないと思うくらい食べて…僕は大事な目的を忘れていました。 それは『白湯ラーメン』を食べる事。 お昼の営業時間はとっくに過ぎてるし、仲間は全員満腹状態で倒れてる。 この場面、この状況で「ラーメン食べたい」などと言ったら確実に射殺されると思った。 だから「チェリ井さ〜ん? お腹いっぱいになったぁ? 足りないんじゃないの?」と囁いてみた。 そしたら案の定まだ足りないような顔していたので「ラーメンでも食べますか?」と追い打ちをかけたら大きくうなずいて、606の作戦に喰らいついてくれました。  仕方ない顔で「かいせいさ〜ん…チェリ井さんにラーメンお願いします。 ついでに僕にも白湯ラーメン作ってね!」と頼んで成功♪  18ヶ月ぶりに食べた白湯ラーメンは海の味豊富で幸せでした。 もう何も思い残す事は無い! そろそろ帰らねばと思った時、なによりも大事な記念写真を撮る行事が残っている事にハタと気がついた。

 『海星楼さんの店の前にセブンを並べて記念写真を撮ろう!』が今回の目玉だったのに… 腹が満たされれば帰る事しか脳にない606はすっかり忘れていたyo~ 各々御支払いを済ませて店を出ました。 店に入る前と出る時の体重差は10kgぐらい増えてるんじゃないかな? これがチキチキ版浦島太郎。 おとぎ話の浦島君は竜宮城から出たら速攻で約束破って老けてしまったけど… チキチキ版は歳が増えるのではなく、体重が増えるというお話。 拳1個分の余裕があったGパンがキツキツになったし、セブンを海星楼さんの駐車場に(直線距離で50b)移動しただけでGパンのウエスト部分が折れてしまった。  これを名づけて『裏島太郎現象』と僕らは呼んでます。(誰がやねん!)

 疲れと満腹感で、なぜかフラフラ。 いつもならバッチリ構図を決めて気合いを込めてシャッター切るのだけど、なぜか海星楼さんがグルグル回ってる。 それもそのはず昨夜は5時間ぐらい飲みまくって、帰ってからほとんど寝ていない。 満腹感と部屋の温かさで激しい睡魔に襲われていたのは正直なところ。 烏龍茶にわずかに入ってるカフェイン程度では606の脳を活性化させるには至らず、アフターで出していただいたコーヒーのパワーでなんとか目を開けていられる状態でした。
 だから606号が主役みたいな画像になってゴメンなさい! 背景がかなりゴチャゴチャしていたので少し画像を加工しました。 だって手前には水溜りがあったし… とても綺麗に加工できたと思います。 (開き直りが大事)

 記念写真も無事に撮り終え… 午後3時半、海星楼さんの駐車場からドバーっと出発。 相変わらず風が強かったけど、来た時に比べて雲は薄かったので、進行方向は次第に青空になると思いました。 たくさんの思い出を胸と腹に詰めて帰路につきました。 かいせいさん御夫婦&三発屋さん御夫婦には感謝です♪

 ここからは来た道を引き返すのみ! 18ヶ月前に単独で来た時は、帰路について5分ぐらいで大渋滞にハマった。 真夏の水温計『118事件』が起きた場所。 そう! この三叉路からバイパス入り口まで燃えるような渋滞だった。 ところが今回は渋滞の気配は全くなくバイパスに上がり、阪和道・泉南ICまで無事に来れました。 『案ずるより乗るが易し』とはこの事ですね。 泉南ICからは帰り道の岸和田SAを目指しました。 道路はガラガラに空いていたので飛ばしたい気持ちでいっぱいだったけど… 凄く良いタイミングで乗用車がロックオンされて撃墜されていたので、アクセルを緩めて走りました。

 岸和田SAに到着。 ここではトイレ休憩と買い物と給油を15分以内で済ませて出発するという悪魔のような制限時間。 ソーラーパワーで動いてる606は陽が傾いてくると焦り始める。 できるだけ人が集まってこない場所で、GSが近い場所を選んで止めるようにしてます。 それはオープンカーの特性ゆえ、何か持って行かれても困るからです。 今回も売店からは遠くてGSに限りなく近い場所にセブンをかためて止めてトイレや買い物に行きました。 『15分』というのは正直長いくらいの制限時間です。 できれば5分以内で戻るのが正解。 僕は少し気を抜いてしまった。
 買い物を済ませて売店から出たらセブンの周りに数人たむろしていた。 目が悪い僕でも仲間じゃない事ぐらいは確認できたので、慌てて走ってセブンの所に行きました。 少しガラの悪そうな男性でしたが「兄ちゃん、シートの上に財布ほかって行ったら持ってかれるでー!」と言われ… なんの事かと思ったら、おじゃさんのセブンのシートの上に財布が口を開けて置いてあった。 「あぶね〜!」 
 さらにはチェリ井さんが「あの親父オレのセブンのシートに座ってやがった!」とメチャメチャ怒ってた。 その時スタン・ハンセンのテーマソングが聞こえてきたが、なんとかチェリ井さんを落ち着かせた。 腹いっぱいのチェリ井さん… 下手したらウエスタンラリアットで岸和田SA潰すぐらいのパワー持ってそうだから怖かったわ〜! 
 所変れば考え方も変る。 あの3人は(たぶん)悪い人達ではないと思うけど… 「まぁええやん!ええやん!」という気質は、僕も昔こちらの方に住んでたから理解できる。 これはセブンの小隊を留守にしてしまった僕の責任。 今後は本当に気をつけなければいけないと思いました。 チェリ井さんがSAを破壊しないためにも…。

 岸和田SAからは無謀にも御在所SAまでノンストップと決定。 香芝SAまでは直ぐだし…このまま順調に帰れると思ったし、少しでも早く帰宅できるようにしました。 しかし人間とは弱い生き物で…犬のようにトイレを我慢できない。 香芝SAこそ越えられたけど、香芝を越えて直ぐの天理PAで墜落。 この先の名阪国道に入ると本当にトイレが無いからPAに仕方なく入りました。 入った途端、空から威嚇射撃! 「嘘っ?」と思ったがマジで雪が降ってきた。 降ってきたというよりも遠くから流れてきた感じ。 まぁこれは想定内! 乾いた雪はセブンのボディに弾かれるから、雨よりも気楽。 風が強いから雪は埃のように流されていた。 しかし若干高台にある天理PAでの粉雪は突風と相まって吹雪と化していた。 僕らは「此処だけでしょう♪ 早く出発しましょう♪」と結構余裕ぶっこいてました。

 ところが! 天理を越えて名阪国道の進行方向の空は水墨画。 この水墨画の空は何年も前の春にセブン25台で和歌山マリーナシティに行った帰りに見た空と同じ。 あの時はバケツの水をひっくり返したような激しい雨に打たれた覚えがある。 「やはり何事もなく終らなかったかぁ!」と…誰もが思った事でしょう。
 案の定、雪は降ってきました。
 最初のうちは天理PAで喰らったプチ吹雪でしたが… 進めば進むほど夕方前というのに真っ暗になり、どんどん激しく降ってきました。 スポーツラジアルタイヤに履き替えてるから、積もっても大丈夫だろうし、まだ路面が乾いてるから安心して走れるけど… 電光表示板に出てる現在の気温『0℃』を見た途端にヤバイと思いました。 そのうちに視界も悪くなるぐらい降ってきて、路面も濡れ始めてきました。 「絶対に危険」と思ったので走行車線を低速車と一緒に走ってたら、後ろにいたセブンが全車カッ飛んで追い越して行く。 「みんなSタイヤでしょ? 危ないってー!」という心の叫びを無視して追い越し車線に戻って走ってると、チェリ井さんは小さなワイパーを動かしながら抜き去って行く…。 しかも左から…。

 この雪の中を高速で走るセブンって凄いと思うし… 怖いと思うし… 危険だとも思う。
 僕は走りながら、映画『プライベート・ライアン』のノルマンディー上陸のシーンを思い出した。 飛び交う銃弾の中を突き進むかの如く… おじゃさんなんかヘルメットも被らず突撃していた。 とても真似できなかったyo~
 そんな中でも僕は必死に写真を撮りました。 どんな感じで撮れてるか全然分からなかったけど… 5枚くらい撮りました。 5枚が限界。 片手で運転しながら意識をカメラに持っていく事はメチャ危険でした。 危険を顧みずシャッター押す僕は、戦場カメラマンで有名なロバート・キャパの気持ちが理解できました。 彼の場合は下の画像が雪ではなくて鉄の弾だったはず。 ロバート・キャパもノルマンディー上陸に撮影班として行ってる。 僕には下の画像が精一杯でした。

 亀山IC周辺で雪は小降りになりました。 山を越えれば青空(星空)だと思ったのも束の間! 更なる試練を電光表示板が知らせる。 『この先渋滞20km』 どうやら御在所SAまで渋滞してるらしい。 真夏の渋滞だったら冷や汗ものだけど…水温の心配をしなくていいからプチ気楽。 ここに来て天理PAでトイレ休憩した事が正解だった。 606の膀胱はまだまだ容量以下。 のんびり渋滞に巻き込まれる覚悟で亀山ICを通過しました。 通過して直ぐに渋滞の最後尾に並んだ。 そしたら突然雪が… 『泣きっ面に雪』 完全防寒服の606だったので寒くは無いけど… 平和な乗用車の窓からは好奇の目の嵐。 観光バスの横では好奇の目の機関銃。 「ふん! 雪だろうが寒かろうが好きなセブンに乗ってるんだ! 文句あっか!」と見えない相手に魂の叫び。 
 温かい車内から見た俺達は不幸のどん底にしか見えないだろうけど… 決して俺達は不幸なんかじゃない。 確かに寒いし渋滞キツイしカッコ悪いけど… 『非日常』をパワーに遊び続けられる事に誇りを持ってるし、それが悦びでもある。 今日この瞬間をツマミに何度でも旨い酒が飲めるし、楽しい会話ができる。 笑いたければ笑えばいい。 否定したければ否定すればいい。 

 このクソ寒い中をセブンで走りきり、帰宅して風呂に入った時の感動は…観光バスの高い所から笑われた者だけの特権。

 だけど…できれば天気の良い日にツーリングしたいですね(^0^)
 今回は延期にしたほうが良かったのか… 実行して良かったのか… 19日以降BBSに書き込みしてくれた内容を読んで涙した606でした。
和歌山 海星楼さんツーリング エピソードU